2008/06/15

トーマス・マンを読む。

「トニオ・クレーゲル」
これはおもしろい。
けれど彼女は絶対に来はしなかった。そういうことはこの世では起こらぬのである。全く昔と同じことだった、そうして彼は昔と同じように幸福だった。

このあと、その理由を明らかにする一節があるのだが、そう言いきってしまえば、もうそれ以上の反論は出てこないのである。
たかだか恋で、言わば妄想である。
苦悩である。狡猾である。泣くしかない。

ふたつの世界のあいだに立つ苦悩。自分をたいしたものじゃない、と言う詩人。

幸福だったのである。
なぜなら……と続く。続く部分は引用しないことにする。


幸福とは何だ。幸福であるなら、何に苦悩しているというのか。

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